京都といえば、観光都市として世界的に有名で華やかな街のイメージを持つ人がほとんどではないだろうか。
しかし、光が当たる街には影があることを忘れてはならない。今回は、そんな影の街を歩いた日の記録を載せたいと思う。
京都駅から歩くと、駅前の華やかな雰囲気から一転して、タイムスリップしたような感覚に陥る場所がある。それが、関西有数の被差別部落として有名な崇仁地区だ。最近では大幅に整理がなされ少しずつ姿が変わりつつあるが、未だにその当時の雰囲気を残す街である。
時代を感じる屋上にフェンスがある建物と京都タワー。この地域は、時の流れがゆっくり進んでいるのではないかと錯覚する。
これはいつ頃建てられたものだろうか。アンテナが残されているがフェンスはガタガタに歪んでおり、夜なのに明かりが全くついておらず、人が住んでいる気配はない。しかし、撮影した時に中から物音がしていたため、すごく恐怖感があったことを今でも鮮明に覚えている。
少し前と比べるとかなり治安が良くなったようだが、他の地域と比べるとかなり良くなかったと耳にすることが多い。
「振り返ろう 自分の心 もう一度」
少し時間が経っている看板があった。なぜ、この言葉なのだろうか。
後ろに見えるのはおそらく改良住宅と呼ばれるマンションであると思われる。改良住宅とは、老朽化した建物が密集している地域を改善するために建てられた建物である。かつて、この辺りには老朽化した家がたくさんあったらしい。
もう少し奥に進んでみると、奥の道を挟んで時代が変わっていることが見てとれる。しかし、手前の建物には誰も人が住んでいない。真っ暗で静かな場所になっており、写真では明るさの対比が無いように見えるが、肉眼ではかなりの差がある。
違う通りでは、かなり荒れている場所もある。放置されそのままになっているものがたくさん残っている。
少し違う路地に入ると、老朽化しているかつ残された家が存在する。人の気配がする家もあるが、多くの家は人の気配もせず廃墟になっている可能性が高い。少し異様な雰囲気が漂う場所だ。
そして、道路に堂々と置かれている物干し竿。堂々と道の真ん中に置いてあります。この奥はどうやら人が住んでいるようだ。
あんまり何度も通って迷惑になってもいけないので、静かにこの通りを抜けて京都駅の方に戻る。
ここから見る京都タワーが私は一番大好きだ。このフェンス街は、大学が建設される予定でいずれ見ることができなくなる。長年、ここにカメラを持って散歩する度に撮影してきたが、時間が止まったようなこのワンシーンに惹かれるものがある。
こんな異様な場所は、他にどこにあるのかと思ってしまうほどにフェンスに囲まれた街。最近、写真の右のフェンスが黒い色に塗られてしまい目立ちにくくなったが、異様さはまだまだ健在している。
フェンス街の近くに立つ改良住宅。フェンス街から見るととても大きく迫力を感じる。自分がいる場所と見えている場所で差があるので、異世界に来たのでは無いかと思ってしまう。
取り残された街、この状態になってどれくらいの時間が経っているのだろうか。かつてあった景色はどんなのだったのか。
ふれあいばし。川というより用水路の上にかけてあるが、奥はフェンスで塞がれており渡ることはできない。どういう経緯で作られ、残されたのか・・・
フェンス街を上から撮影してみた。この街灯がかつて無く真っ暗だったようだ。痴漢が多発したらしく取り付けられたらしい。この街灯がかなり明るくフェンス街を照らすため、よりSF感ある雰囲気となっている。
いつもは空いていないフェンスの隙間。この日は空いていた。誰かが出入りしているのだろうか・・・
この崇仁の街のこの場所にいる黒猫。過去記録した写真に良く写っていたりする。少しずつ変わりゆく街を眺めながら過ごしているのでしょう。
久しぶりに1時間ほど、崇仁地区を散歩した。数ヶ月に一度訪れると変化があって面白い。そして、最近になりこの場所が話題になり始めた。2023年を目処に大学を建設するようでこの景色も残りわずかとなっている。少し寂しさもあるが、やっとこの地域も近代化すると思えば、時代の流れとしては当然かもしれない・・・